File No16  高瀬(旧姓 江川)佳子さん

  年齢  40代
  在学中の専攻 オルガン  


(ブランデンブルク大聖堂:ワーグナーオルガン

私は、もともと医療系の大学を卒業し、診療放射線技師として病院に勤務していたのですが、どうしてもオルガンの勉強がしたくて、この音楽科に入学しました。ですから、同級生達はみな8歳ほど年下でした。
実技、そして興味のある、西洋音楽史、宗教音楽史、鍵盤音楽史はもちろん楽しいものでしたし、未知の分野であった、塚田健一先生の「民族音楽学」の連講は非常に面白く、レポートも楽しみながら書くことが出来、よく記憶に残っています。
また、自分の専攻以外の楽器や歌の音楽を、広く知ることが出来たことも、私にとって宝物のひとつです。


卒業後は教会オルガニストとして、教会の礼拝など典礼の中で、オルガンを弾いてきました。小さい子供が二人いますので、なかなか練習も出来ず、大きな曲を仕上げることも難しい状況でしたが、典礼の中で音楽を捧げられることは、私にとって大きな喜びでした。

現在、夫の仕事の関係で、ドイツの首都ベルリンに住んでいます。ご存知のとおり、ドイツは音楽に恵まれた国です。ベルリンには3つの歌劇場、そしてあの有名なフィルハーモニーがあります。いずれもシーズン中はコンサート、オペラ、バレエなどの催しが盛りだくさん。しかも気軽に行けるお値段です。素晴らしい音楽環境の中、私は久しぶりにゆっくり音楽に接する機会を与えられました。

オルガンは、エヴァンゲリッシュ(ルター派)の教会のオルガンをお借りして、練習させていただいています。また先日は、300年前に作られた歴史的オルガンを試奏させていただく機会を頂きました。まさにバッハの時代のオルガンです。先の戦争で破壊されたオルガンも多いのですが、ドイツにはまだ、こういった歴史的オルガンが残っています。バッハが生きていたころの響きを聞き、そしてその楽器を弾くことが出来たことは、とてもよい経験となりました。
こちらのオルガニストからは、いつも「即興やりなさい。コラール(讃美歌)の旋律(こちらのコラールには旋律しか、書かれていません)に、自分で和声をつけて練習しなさい。」と言われます。オルガニストにとって、曲を弾くのと同じように、即興の技術は大事です。礼拝やミサに出席していると、オルガニストが自由にコラールを発展させて壮大な音楽を作り上げるのに出会うことがあります。私は即興が苦手なので、これからの課題としていこうと思っています。

また、教会音楽を歌う合唱団に所属して歌っています。今年の聖霊降臨祭ではベルリン大聖堂(ルター派)の礼拝のミサ曲を歌わせていただきました。ベルリン大聖堂のオルガンのすぐそばで、典礼の中でミサ曲を歌うことが出来たことは、「ミサ曲がどのようにして典礼の中で歌われたか」の実体験となり、これもとてもよい勉強となりました。

年末には帰国です。自分の勉強のためにドイツにきたわけではないので、思うように自分の勉強は進みませんが、こちらでの経験で得られたことを活かしながら、これからも典礼の中で、音楽を捧げていきたいと思っています。



(ベルリン大聖堂:ザウアーオルガン

在学生のみなさんへ・・・

今、ドイツに住んで思うことは、「もっと若いうちに来たかった」ということです。なんといっても吸収度が違うでしょう。
若いうちに、沢山のことを学んでください。沢山の音楽を聴いてください。そして機会があれば、旅行でも何でも、海外で音楽に触れる経験もしてください。きっと皆さんの音楽にプラスになると思います。

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