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File No.9 E.S.さん |
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年齢 40代 |
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在学中の専攻 ピアノ |
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(グラナダ)
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現在、私はスペインのマドリードで、伴奏ピアニストになる夢をかなえるために、真剣にピアノの勉強に取り組んでいます。これは26年前、宮城学院音楽科を卒業する時には、自分自身でさえ想像できなかったことです。
学生時代は、ピアノに関しては将来これをやりたいという目標も無く、とても大雑把なやり方で短時間の練習で済ませてしまうような、不真面目な学生でした。もちろん大学生活は4年間大変楽しく過ごしていたのですが・・・。卒業後は音楽教室や自宅でピアノを教えていましたが、結婚後数回の主人の転勤に伴い、それも消滅。子育てと家事に専念し、週一度テニスコートで思い切り汗を流すことが楽しみとなっていました。 |
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2003年6月にまた転勤でマドリードに来ました。こちらでの生活は、すばらしい青空の下でとてもゆったりと過ごせて快適です。でも、始めの頃は言葉の壁という私の大の苦手な障害物のせいで、行動範囲は家と近くのスーパーの間だけ・・・そんな生活を送っていました。そのうちに、なんだか自分の存在価値がだんだん薄れていくような思いがして、「日本で友人達は仕事を持ち活躍しているのに、私だって何かしたいのに・・」という焦りばかりが募ってきます。人生の半分を過ぎて、そのようなことをアレコレ考える年齢にもなっていましたから。
就業許可証を持たない外国人が働けるわけが無いし、でも、将来私に出来ることは何かと考えたときに、やはりピアノしかないという結論に達しました。それならば、日本に帰るまでの間、この中途半端な私の実力を、少しでも向上させよう、と前向きな気持ちになった時に幸運は訪れました。友人の紹介で、あるピアニストのレッスンを受けることができるようになったのです。すばらしい経歴とテクニックを持ち、コンサートピアニストとして、世界各地で演奏活動をしている方です。その人との出会いによって、私の人生は変わったのです。 |
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2週間に一度のレッスンは、毎回感動の連続で、私は少しでも先生に近づきたい一心で教わった練習方法を実践し、この年齢でも確実にテクニックは上達するということを体験しました。指もかなり開くようになり、以前上手く弾けなかった曲が嬉しいように克服できたのです。(この時点で大好きだったテニスと泣く泣く決別!ピアノとテニスは水と油の関係ですから)ただひとつ、暗譜が若い頃のようにスムーズにできないのは避けられない現実です。音楽を勉強中の学生さん、若いうちに出来るだけ多くの曲を練習した方がよいと思います。私の経験では、学生時代に弾けた曲に関しては、暗譜は簡単でした。そして私は、伴奏ピアニストになる、という目標を持ったのです。
伴奏ピアニストは、ソリスト以上に幅広い知識が必要かもしれません。まだまだ勉強不足ですが、近々ある芸術協会のオーディションにチャレンジするつもりです。年齢制限のあるコンクールやオーディションが多い中で、伴奏ピアニストは年齢不問です。何事もやる気さえあれば年齢は関係ないと思います。でも若いころの努力は、夢をかなえるための近道になることは間違いありません。後悔しない人生を送るためにも、貴重な学生時代に積極的に多くのことを学んでください。
私は一年後、帰国します。日本でどんな生活が再スタートするのか、とても楽しみです。

(バルセロナのストリートミュージシャン)
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