日本音楽史概論
日本の伝統音楽には多様な楽種(ジャンル)が存在する。それらは、歴史の流れの中である種の影響関係を形づくってきた一方、それぞれ特定の文化的背景を負って生まれ、特定の伝承集団によって伝えられたことから、互いにからり異質な響きをもつ。
ここでは、音響資料、映像資料、絵画資料、実際の楽器などを通して音楽の姿をよりリアルに把握しながら、楽種の種類と歴史的影響関係および代表的な楽種の音楽的特徴を概観する。その際、個々の楽種の成立や変遷を支えた文化的背景を視野に入れ、日本伝統音楽のアウトラインを立体的にとらえてゆきたい。