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社会的ニーズに対応する質の高い保育者養成プログラム

本プログラムの一部は、平成25年度学術研究振興資金「子どもに対する援助行動を考慮した共感性尺度の開発」(私学共済事業団)により助成を受けました。対人援助が必要な保育職特有の職務ストレスを軽減するための研究を継続的に実施しております。

発達臨床学科の保育者養成プログラムの紹介

(1)社会的ニーズについて

平成20年3月末、幼稚園教育要領の改訂と保育所保育指針の改定が同時に行われました。旧教育要領と旧保育指針の施行からわずか8年後のことです。この短い期間での改訂(改定)は、子どもや子育て家庭を取り巻く状況が、急激に変化し続けていることを意味しています。
具体的には、多動で衝動性の高い子ども、人との関わりに乏しい子ども、情緒が不安定で気持ちの立て直しに時間がかかる子どもなど、「気になる」行動特徴をもつ子どもたちが増加していることが挙げられます。また、児童虐待の急増に象徴されるように、子どもが育つ家庭環境も悪化しており、保護者の理解とその対応も一層困難となっています。このような子どもや子育て家庭を取り巻く社会状況の中、専門性の高い幼稚園教諭や保育士の養成が急がれています。

(2)本学科の保育者養成プログラムの目標について

本プログラムの教育目標は、社会的ニーズに対応できる、質の高い幼稚園教諭と保育士を養成することです。そのためには、(1)学生が社会的ニーズを理解し、それに対処するための教育・保育の方法を学ぶことができる教育課程を構成すること、(2) 現場の保育者集団の真摯な取組みに長期間にわたって参加することで、大学で学んだ知識や技能をより実践的な教育力に高める機会をもつこと、(3) これらの実習を通して、地域の幼稚園・保育所と大学が連携して、社会的ニーズについて、双方向から取り組む関係を形成することが必要であると考えられます。発達臨床学科の保育者養成プログラムは、これら3つの具体的目標を達成するために計画されています。

図1 発達臨床学科が提案する人材育成プラン。多様な学生が、明確なキャリア形成イメージを持てるように設計されています。

保育者養成プログラムの具体的内容・実施体制

1.本プログラムを達成するための教育課程・教育方法について

(1)保育者養成の教育課程に厚みを加える心理系・福祉系科目
本学科の幼稚園教諭・保育士養成課程では、教育や保育の教育系科目の他に、認定心理士の資格が取得できる心理系科目、また社会福祉士の国家受験資格が取得できる福祉系科目が置かれています(図2)。

図2 発達臨床学科の提案するキャリア形成イメージ。幼稚園教諭一種免許状と保育士資格の同時取得を第一目標に、心理や福祉の専門性を備えた保育者を目指します。

心理系の科目では、乳幼児の行動観察を専門的に学習する実習(科目名:心理学基礎実習)や、子どもが抱える心の問題(臨床心理学実習)、あるいは保護者面接を想定したカウンセリング実習(カウンセリング技法)などがあります。
また、福祉系科目においても、発達障害児を支援するための療育実習(社会福祉基礎実習)や、ケースワークやグループワークについて学ぶ援助技術実習(ソーシャルワーク実習)などがあります。
学生は、教育系科目と平行して、これら心理系科目、福祉系科目のいずれかを重点的に選択することができ、社会的ニーズに対処するための実践的な知識と技能を学ぶことが出来ます。

図3 発達臨床学科の階層的実習科目。長期間の実習経験で実践力を養います。

(2)階層的教育・保育実習科目
一方、幼稚園教諭、保育士養成の質を高めるために、本学科の教育実習、保育実習は図3に示すように階層的に実施されています。
この図に見るように、1年次においては、主に幼児の行動観察について学びます。本学では、大学のキャンパスに附属幼稚園があり、学生は空き時間や観察時間(時間割の中で特別に設けられた時間)に、自由に幼児の行動観察ができます。学生は、1年を通して12回程度のレポートを提出し、行動観察の記録の仕方について学びます。

2年次の教育実習I・保育実習AI、3年次の教育実習II・保育実習AIIは、幼稚園教諭免許と保育士資格に必修の実習です。本学の特徴は、これらの必修の実習を、2つの学年に分けて実施していることにあります。たとえば、2年次の教育実習Iでは、観察を主とする実習となっており、幼稚園での子どもの生活と遊び、保育の流れ、教師の役割などを体験的に学びます。また、この実習において、学生は、次年度の実習に向けての自らの課題を明確にしていきます。実習が終了すると、集団、および個別に事後指導を受ける一方、明らかとなった自らの課題への取組を始めます。学生が実習から持ち帰る課題は、学生たちに共通する内容が多いことから、グループによる課題研究として、実践的、理論的検討を始めます。 これが、3年次の実習IIの前に行われる実習指導の主な内容となります。例年、学生が課題研究として取り上げる内容は、保育内容の科目にほぼ対応する「運動遊び」、「製作活動」、「音楽的表現」、保育技術としての「教師による言葉がけ」、「活動の導入の仕方」、「けんかの仲裁」、「気になる子どもへの対応」、その他「子育て支援」に関する研究などがあります。実践的な課題研究に関しては実際に指導案を作成し、附属幼稚園の園児を対象とした模擬保育、または学生を園児に見立てた模擬保育を行います。また、それらの結果も含め、グループごとに、課題研究の発表会を行います。この発表会の準備を通して、学生は、保育研究の方法、プレゼンテーションの仕方について学びます(保育実習AI、保育実習AIIにおいてもほぼ同様である)。

(3)インターンシップ制度を取り入れた4年次の実習・卒業研究
発達臨床学科の保育者養成プログラムの大きな特色は、4年次に行われる実習や卒業研究にインターンシップ制度を取り入れていることです。この制度は、現在、週に1日の実習を1年間にわたって幼稚園で実施する教育実習IIIにおいて実現しています。教育実習IIIを選択する学生は、各自研究テーマを設定し、新学期より実習を開始します。実習は、基本的に毎週火曜日に行われ、参加を主とする実習を行いながら、自らの課題研究に取り組みます。学生は教員集団の一人のスタッフとして期待され、学生が実習を行う火曜日には、実習園においては様々な行事が組まれています。
本プログラムでは、このような1年間におよぶ実習や卒業研究を、保育所や社会福祉施設などにおいても段階的に実施しています。

(4)地域の幼稚園・保育所との連携による社会的ニーズへの双方向的取組
発達臨床学科の保育者養成プログラムのもう一つの特色は、実習や卒業研究の指導に当たる教員も、学生の実習園の保育者と一緒に研究に取り組み、保育の現場で生じている社会的ニーズについて、双方向から取り組む関係を形成することにあります。たとえば、本学科の足立智昭教授は、学生が実習を行っている保育者と一緒に子育て支援のためのリーフレット集を作成し、現在、仙台市のホームページにそれらを掲載しています(このリーフレット集から構成されるホームページは、年間40万件のアクセスを誇る人気サイトとなっています:http://www.city.sendai.jp/kenkou/hoiku/kosodate/)。これらのリーフレットは、実際の子育て支援に用いられているばかりでなく、学生の実習指導にも役立てられており、本学科のプログラムの先駆けとなる研究モデルとなっています。本学科の教員全員が、このような現場と一体となった研究に取り組みことは、地域の幼稚園や保育所への貢献となるばかりでなく、大学の保育者養成プログラムの質を高める上でも極めて重要であると考えられます。

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